グローバル人材を目指すあなたが意識すべき3つのこと~元外務省事務次官と学生の対話〜(後編)

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グローバル人材とは、“感性”をもつ人である!

板倉:さて、ここまで塾生二人に“グローバル人材とは?”というトピックでご意見聞いてきましたが、小川君はどうですか?

小川:一言でいえば、自分にしか発揮できない価値を持っている人だと思います。世間的に言えば、いわゆる“グローバル人材”って英語ができるとか、海外留学経験があるとか、そういう文脈で使われる言葉だと思うんですけど、でも僕が思うにそれらはグローバル人材とは一切関係ないです。現在世界を舞台に活躍している方々というのは、グローバル化の影響でその活躍の場が世界に広がっただけなんじゃないかなと思うんです。例えば、日本人の20代のエンジニアが、15万ドルくらいでGoogleに引き抜かれるとか、今まででは考えられなかったことも、ヒト・モノ・カネが世界規模で動くグローバル化の時代では容易にありえてしまう。だからグローバル人材とは、プロフェッショナルとして自分にしか発揮し得ない価値を持っている人たちだと思います。

板倉:自分にしか発揮できない価値があれば、日本にとどまらずグローバル規模でも活躍できてしまう、その結果としてグローバル人材になるということですね。

小川:そうですね、言語が関係ないっていうのはそういう意味です。もちろん英語くらいはできたほうがいいかもしれないですけど、でも本当に自分にしかない価値を持っていれば、英語ができようができまいがグローバルレベルで必要とされるはずなので、そう言う意味では関係ないですね。

板倉:じゃあそんなグローバル人材になるために必要なことってなんだと思いますか?

小川:塾長がよくおっしゃっているとおり(前回のインタビュー)、結局は“感性”ですかね。例えば、100の話を聞いたとして、その話がどれだけ頭に残るかはその人の能力次第です。賢い人は全部覚えるでしょうね。でもそんなことは重要じゃない。 大切なのは「どれが自分にとって大切なのか」を判断すること。でもそれって結局のところ、感性なんですよ。自分がどういう感性を持っているかによって、頭 に残ってくる情報も変わりますし、そこから生まれる行動も変わってくると思います。

薮中:ほぉ。じゃあ感性を磨くにはどうしたらいいと思う?

小川:竹中さんが指摘したように本を読むというのは非常に重要ですが、それに加えて色んな価値観を持った人と話すことだと思います。

堤:でも、ただ人と話していればいいってもんじゃないよね。

小川:そうですね、人と話して刺激を受けることで、自分の感性が磨かれると思います。

板倉:なるほど、今の意見について、薮中先生どう思いますか?

薮中:僕の講演が終わったあと、よく「いいお話がきけました!」と満足げに言ってくる奴がいるんですよ。でもそんなのは全然だめですね。欧米の人たちの前で同じ講演をやったら、必ず「俺はあなたの言ったことについてこう思う!」と言い始め、そこから議論になっていくんです。彼らは話を一方的にきくだけではなく、相手に対してチャレンジし、自分の考えを言いたがる。僕らが薮中塾で議論しているのも、そういう練習としてなんですよ。国際社会で今何が起きているかをどこまで理解できて、それらについて自分の考えを持ち、それを他人に上手く伝えられるかどうかの繰り返しです。国際関係論や外交だけじゃなくて、どの分野においてもこの繰り返しをやっていかないと、国際社会で相手にされないですね。日本の中で、ずっと生きてきた人間というのは、意見を持ち発信するということがなかなかうまくいきませんね。でもこのような練習をずっと繰り返しやっていると、だいたい分かってきます。それは鍛錬みたいなものですね。そうして勉強していく中で自分なりの感性が磨かれていき、石も磨けば玉になると思います。

小川:具体的に実践できるレベルに落と仕込むなら、エコノミストやフィナンシャルタイムズを読んで意見を持ち、発信するというような事ですかね?

堤:それもいいかも知れないけど、評論家とか傍観者としてではなくて、この問題について自分がどうコミットしていけるか、自分だったらどう解決できるかという当事者の視点が大切なんじゃない?最初は荒削りでもいいから、「自分だったら」という意見を、真摯に相手に投げてみる。相手からも反応が返ってくるだろうから、そのやりとりの過程で自己の 感性が形成されていくんじゃないかな。そう思えば、”感性”って、他者との関係性の中で磨かれるものなのかもしれないね。

薮中塾の魅力

板倉:“人と人とが磨き合うことが大切”との意見でしたが、そんな場所のうちの一つとして薮中塾があると思います。ここからは、塾生一人一人にその魅力を聞いていきたいと思います。

小川:先ほどの議論の続きにもなりますが、世の中の出来事に対して自分の考えを持つのはすごく大事で、でもそれって誰かに話さないと意味がないと思います。そして、自分の意見を持ち、それを発信し合う場としては、薮中塾は日本で一番に良い環境ですね。外務事務次官という、日本の外務省のトップに立たれた方がいて、そこにそれなりに優秀な学生が集まってきていて、勉強会でも飲み会の場でもディスカッションができる、非常に良い環境だと思います。

板倉:力強いお言葉ですね!ありがとうございます。堤さんいかがですか?

堤:自分の人生において、実現したい目標・目指す場所へ向かう道のりは、決して平坦なものではないと思います。もしかしたら、一生かかってもたどり着けない、 成し遂げられないかもしれない。時には、もういいやって諦めてしまいそうになったり、日々の忙しさに目標を見失いそうになることもあります。でも そんな時に、かつて切磋琢磨した仲間が、一緒に語り合った夢や志の実現に向けて、この世界のどこかで頑張っているんだと考えると、「ああもっと頑張らな きゃ」「私も負けないぞ」と自然に思えてくる。そういう”仲間”は、想像以上に得難いものですが、薮中塾ではそういう人たち、この人たちと一緒にどこまで も歩いて行きたいと思えるような人が簡単に見つかります。普通に大学に通っているだけじゃ、絶対に出会えないような人たちに会えること、それが薮中塾の魅力ですね。

板倉:確かに。ここで得た仲間と一緒に、いつか世界規模の課題を解決できるようになればいいなぁと私も思います。最後に、竹中さんどうですか?

竹中:薮中塾は、国際社会で起きていることを理解して、自分の意見を持って発信する場を得られる、という点が大きな魅力だと思います。私にとって、薮中塾で勉強していることは普段大学で自分が学んでいることと、全く違うことなんです。だから、自分の専門性を活かしながら、他にも異なる専門性を持った学生と勉強できる。また、一年に一回勉強会の企画運営を担当することで、自己発信の場としても役立ちますよね。

薮中:なんだか嬉しいですね。僕が思う塾の魅力は、一回一回進化しているということですね。何も、初めからどんな場にするか決まっていたわけではなく、固定された薮中塾というものはないんです。みんなで作り出すものなので、みんなの工夫で一回一回が変化していく、そこが魅力だと思いますし、そのために塾生の自主性を尊重しています。

私自身は、それなりに交渉してきたという経験でどんなふうにしたら外国との関係が上手くいくのか、また上手くいかないのか、そういうことはかなり分かっていますし、それに今世界で何が起きているかというのを観察するということでは、僕はある意味プロなんですね。だから、どんなことが今世界で起きていて、どんな風な格好で話をすれば世界と向き合って十分やっていけるか、というところは経験から自分自身の肉になっているところです。そういう部分を塾生に共有しながらやっていければいいなと思います。ただこれがね、大学のクラスではなかなかできないんです、どうしても。大学のクラスでやるよりもう一段高みを目指して、みんなが問題意識をもって育っていく場を作りたい。そして塾生一人一人がそれぞれの人生を進んでいく中で、今後どんな社会や世界に出て行っても通用するような、そんな基盤になればいいなと思います。そして、そんな高みを目指す若い人たちと一緒に自分もやっていきたいなと思いますね。

堤:なんか、塾生に対する愛をすごく感じましたね・・・

一同:(笑)

板倉:いつもクールな先生から愛を感じられて、なんだかちょっとほっこりしてしまいましたね(笑)愛あふれる対談を世間に自慢する形になってしまい申し訳ないですが、そういった空間にこの4月新たに20名ほどの方々に入っていただけるということで。皆様奮ってご応募いただきたいところです!

(インタビュー終)

グローバル寺子屋薮中塾第4期生、募集開始。

そんな薮中三十二氏が塾長を務める、グローバル寺子屋薮中塾が4期生の募集を始めます。

グローバルな舞台での活躍を志すすべての若者が、外交の最前線で長らく日本を代表して来られた塾長の元で論理的思考能力を磨く、またとない機会となっています。

以下、4期生募集のための入塾説明会と、豪華ゲストを迎えての公開イベントの情報をお知らせします!

プログラム詳細

第1部 「塾長・ゲスト及び塾生による基調講演」
中国の軍事・経済・科学技術について語ります!

第2部「全体討論」
参加者を含め会場全体で日中関係強化の是否について討論を行うセッションを用意!

第3部 「入塾説明会」(任意)
イベント日時: 2018年2月10日(土) 13:00〜18:00

会場: 大阪大学基礎工学国際棟シグマホール
阪急宝塚線「石橋」駅(徒歩20分)または大阪モノレール「柴原」駅(徒歩5分)

▼イベント応募フォーム
https://goo.gl/dfzrqG

申し込み締め切り

一次: 1月31日 (水)
二次: 2月8日 (木)

※ 一次締め切りでの応募者数によっては,二次締め切りを待たずに募集を締め切る場合があります。

この記事を書いた学生ライター

Misato
Misato
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イギリスのダラム大学で平和構築の修士課程修了後、パレスチナで活動するNGOでインターンをしています。”フツーな私が国連職員になるために。ギャップイヤー編”連載中。 Twitter@Misato04943248<⁄a>

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