私たちは、一日に数えきれない程の量のエネルギーを使っています。電気はもちろん、料理をするとき、テレビを見るとき、またメールをするとき。電力というのは常に私たちの周りにあります。
そんな中、電力の使い過ぎによって地球の資源に影響を与えているのもまた事実です。そういった環境への配慮を込めて、実際にたくさんの企業や団体が人々に節電することを呼びかけています。
TEDでトークをしたアレックス・ラスキーもそのうちの一人です。彼は友人と団体を立ち上げ、電力会社と協力しながら人々の節電の為に努力しているのだそうです。しかし、彼が少し違うのはその方法。
実際に成功した彼が実践した方法とはどのようなものだったのでしょうか。
まず、彼が話したのは私たちが実際にどれほどの資源を無駄にしているかということです。
例えば、ある電球を1年間以上光らせることができる石炭があったとします。しかし、この石炭は電球のエネルギーに変わるまでの間に放熱や送電ロスで、もともとの10%のエネルギーにしかならないのだといいます。 つまり、この石炭が電球に変わるころにはたった1カ月しか照らせなくなっているのです。 私たちが使う量の電力をまかなおうと思うと、相当な量の資源が必要な事が分かりますよね。
カリフォルニア州サンマルコスで大学院生によって行われたある実験があります。
その実験とは、エネルギーの節約を人々に呼びかける為に行った実験です。 院生たちは近隣の住宅に冷房を切ってファンを付けるように呼びかけるメッセージを各家庭のドアノブにかけてまわりました。
あるグループの家庭には「冷房からファンに変えると一か月に54ドルも節約できます」と記し、またあるグループの家庭には環境に関するメッセージを書き、さらに他のグループの家庭には「環境に配慮する善良な市民になろう」と呼びかけるメッセージを書いたのだそう。
ではどのメッセージが最も効果的だったでしょうか。 ほとんどの人は経済的なものを予測しますが、実際にはどれも同じだったそうです。
ですが、他のもう一つのグループに配られた「あなたの近所の住民の77%が冷房を切ってファンをまわしています」というメッセージの効果が飛びぬけて効果的だったのです。
このメッセージを受け取ったグループのエネルギー消費はすぐに低下し、効果が見られたのだそうです。
この実験で分かったのが「行動科学」の力で、これがまさに彼がビジネスで利用しているものなのだそうです。
良心に訴えたり、経済的なものよりも社会的なプレッシャーがとても効果があることがわかりました。
彼は友人とOpowerという会社を立ち上げ、電力削減を目指している電力会社と協力して電力削減に努めています。
隣近所の家の電力と比較したデータを配ることで、電力削減の後押しをしているのだとか。
これらの行動のおかげで、彼の会社は5年間で2.5億ドル以上の電気代を削減してきたのだそうです。 更には、アメリカだけでなく、全部で6か国80以上の施設と提携して事業を行っていると明かしました。
彼が最後に伝えたかったことは、いま私たちに必要なのは新しい資源でもテクノロジーでもなく、一人ひとりの気持ちと行動を変えていくことだと言います。
行動科学の実験で明らかになったように、私たちの意識が変われば電力を大幅に削減することができることがよく分かりました。
・How behavioral science can lower your energy bill By Alex Laskey 「行動科学で電気代が安くなるわけ」 By アレックス・ラスキー
海外ドラマ・映画に影響されて15歳でアメリカ留学へ。現在大学では海外から来た生徒と一緒に授業を全て英語で受けています。最近はイベントで通訳をしたり、韓国語を勉強したりと忙しい日々を送っています!主に海外の記事を参考にオリジナル記事を作成していきたいと思います!