今回はサイモン・シネック氏が考える、優れたリーダーと彼らの持つ『安心感』について説いたプレゼンテーションをご紹介します。会社や学校などの組織や団体で悩んでいる方のインスピレーションやヒントになるはずです。(出典:http://www.ted.com/)
サイモン・シネックはアメリカ軍に属するウィリアム・スウェンソン大尉という人物が議会名誉勲章を授与されたことに大きな感銘を受けました。
大尉は、会見に向かうアフガン政府高官の護衛中、待ち伏せに遭って攻撃を受け、その一部始終を小型カメラが記録していました。大尉ともう1人が首を撃たれた軍曹を運び、負傷兵をヘリに乗せた大尉はその人の頭にキスをして、危険なエリアへ他の人を助けるために戻って行く姿が映されていました。銃弾を避けながら負傷者を救出し死者を収容した彼のリーダーシップは高く評価されました。
今回のスピーカーであるサイモン・シネックはこの映像を観て『こういう人間はどこから現れるんだろう?あれは一体何なんだろう?自分の周りにはどうしてそういう人がいないんだろう。』と考えました。
ビジネスの世界では利益を得るために他人を犠牲にする人間が勝者となり、ボーナスが与えられます。一方、議会名誉勲章を贈られたスウェンソン大尉は自分の命を懸けて他の命を救おうとし、アメリカ軍は彼に勲章を与えたのです。根本的な部分がまるで違います。
今回のスピーカーであるサイモン・シネックがまさにヒーローと呼ぶべき人達と会って話した際に言われたのは、「他の人も 自分のために同じことをしたでしょう」という深い信頼と協力の感覚から生まれた言葉でした。
しかし信頼と協力には1つ問題があります。それは信頼と協力とは気持ちであり、「信じてくれ」と言うだけでは信じてもらえないですし、「協力しろ」と言うだけでは協力してもらえない点です。『さあ行ってこい』と言われて命懸けで護衛の任務に当たることなど、深い信頼と協力の『気持ち』なくして果たせるような仕事ではありません。
シネックによると、5万年前の旧石器時代に私達を取り巻いていたのは危険に満ちた世界で、人類は所属や信頼の感覚を持てる集団の中で暮らすことで、夜中に交代で見張りをする『信頼』や生き残るための『協力』を身につけていったのだそうです。
しかし危険に満ちた世界は現代にも残っています。経済の変化は速くて激しく、株式市場は予測できません。ライバルのせいで自分の会社が倒産するかもしれないし、突然仕事を奪われるかもしれません。そんな不安な気持ちは5万年経った現代にも常に存在し、無くなることはありません。
そんな危険や不安に満ちた現代の組織や団体が変わるためにシネックが重要視するのが『リーダーシップ』です。組織の方向性を決めるリーダーが人々の生活と安全を優先するよう心がけ、安心感と集団に属している実感を得られるように働きかけるのが彼が考える”リーダーシップ”です。
シネックはある日空港で順番より少し速く飛行機に搭乗しようとした乗客を目撃しました。彼はその乗客とゲートにいた係員のやりとりに関してこう語りました。『その係員は乗客に向かって怒鳴りつけ、まるで犯罪者のように 扱ったんです 。”もう少し人間らしく扱えないか?”と私が係員に言うと、”規則通りにやらないとこっちがクビになりかねないわ”と言われました。」
この係員は自分の職や立場を守らなければならない不安から乗客にひどい対応をしましたが、もし自分の立場が守られているという安心感とリーダーに絶対的な信頼感を持っていたなら、係員は乗客にどんな対応をしたでしょうか。
上司と部下の関係は表面上良く見えても本当の信頼関係が結ばれていなければ結果は非生産的なものになってしまいます。『お互いから自分を守るために 無駄な時間とエネルギーを費やさざるを得なくなり、結果それが組織を弱体化させてしまう。しかし組織の中に安心感があれば自然にお互いの才能と力を合わせてがむしゃらに働き、外部の危険に共に立ち向かってチャンスをものにできる。』とシネックは続けました。
優れたリーダーとは親のような存在だと彼は考えます。素晴らしい親はまず子どもにチャンスと教育、そして必要ならば罰を与えます。実はそれは優れたリーダーと同じで、彼らは部下にチャンスと教育、そして必要に応じて罰を与え、安心感を与えつつ安全に失敗できる機会を与える存在なのだと語りました。
海兵隊には習わしがあり、上官は最後に食事します。部下に先に食べさせて彼らの食事が終わる頃には上官の食べ物は残っていないこともあります。部下が守られ安心できるよう自らを犠牲にする選択が出来る人こそがシネックが考える優れたリーダーです 。そしてこのリーダーの選択や考え方は組織全体に浸透して行き、周りの人々が徐々にリーダーのビジョンを実現させようと協力することに繋がります。
ではなぜそこまでして周囲はリーダーを支えるのか、なぜその人のために全力を尽くせるのか、その答えは簡単です。なぜなら彼らは絶対的信頼を置き、安心感を与えてくれるリーダーのために当然のことをしている感覚で動いているからです。
あなたのリーダーは”支えたい”と思わせてくれる人ですか?今のあなたは”支えたい”と思ってもらえるリーダーになれますか?
・Why good leaders make you feel safe By Simon Sinek 「なぜ優れたリーダーの元では安心を感じられるのか」 By サイモン・シネック
アメリカ極寒の田舎で4年半国際ビジネスを勉強してました。卒業後アメリカ南下を目指すも失敗し、北上してさらに極寒のシカゴで働いてます。これは!と個人的に思った海外記事を発信していきます☆