忙しい日常の中で家事や買い物をハウスキーパーが全部やってくれるとしたら、あなたなら利用しますか? 1人暮らしと仕事の両立なんて無理!誰か家事やってくれ!と思っていた皆様、朗報です。ついに誰でもパーソナルな家政婦を雇える時代が来ました。日本上陸もそう遠くはないでしょう。
Alfred・創立者マーセラ・サフォンとジェシカ・ベックの2人は、超難関のハーバード・ビジネススクールで出会いました。サフォンはベックのことを“片付けられない女”と話しており、
『私は毎日長時間のアルバイトを終えて散らかった部屋に帰るという毎日でした。でも私よりジェシカは表現できないくらい本当にだらしないんですよ。散らかりすぎなのでアパートに私を呼ばないんです。知り合って8ヶ月にして初めて部屋に上がったんですけれど、キッチンテーブルの大きさと同じぐらいの量で洗濯物が山積みになっていましたから』
と話しました。
そんな多忙極まりない “片付けられない女たち”は費用を2人で割って、洗濯、食材の買い出し、その他様々な雑務を代行してくれるハウスキーパーを雇うことにしたのです。これこそが2人が創立したAlfred誕生のきっかけでした。
『ちょっとしたアクシデントだったんですよ。自分たちのためだけに考えていたアイデアがアパートの住人に流行りだして、私も加われるかしら?と声をかけられるようになったんです』とサフォン。
そんな予想外の需要の高さから本格的にスタートアップとして起業したAlfredは、大きな注目を集めています。サービス料は月々99ドル(1ドル=120円,11,880円)と設定されており、買い物やメール整理、クリーニングの回収、毎日の洗濯物など様々な日常の雑用をしっかりサポートしてもらえるのです。
まだハーバード大の位置するボストンに住んでいた当初、2人は小規模でこのサービスをやっていくつもりだったため、ポストカードに価格と内容を書いて、近所の部屋のドアの下に置いて連絡を待つというアナログな営業スタイルで利用者を確保していました。そんな消極的なスタートでしたが利用者は後を絶たず、結果的に数多くの企業から15億円もの投資資金を獲得することに成功しました。
通常お手伝いさんや配達会社に仕事を任せることが一般的ですが、それでは一体Alfredの何がそれらと違うのでしょうか。 それは仕事内容をそれぞれ最適化していることに秘密があるようです。
『例えば牛乳屋さんって配達員が住宅街を回って古いビンを回収して新しい牛乳を置いて回るルーティーンでしょう?そんな感じで同じ仕事を全ての利用者のために一斉にやっていくことで効率化できるんです』とサフォン。
しかし世界最高峰の大学でビジネスを学んでいた2人にとって、事業と学業を両立するのは並大抵のことではありませんでした。毎回利用者に勉強に集中したいから少しサービスを止めたいと話すと、どうかお願いだから止めないで!と懇願され、ますます多くの金額を支払うようになったのだそう。
Alfredは2013年5月にボストンで始められ、2014年9月に彼女たちはハーバードを卒業してサンフランシスコで行われたTechCrunch Disruptに参加しました。TechCrunch Disruptは1年に2度、サンフランシスコとニューヨークで行うスタートアップや勢いのあるテック系企業のためのイベントで、日本からも我こそは!と趣向を凝らした起業家が集まっています。
『DIsruptに参加したのはちょっとしたサプライズでした。私たちが何より考慮していたのはとにかく間抜けに見えないようにすることだったんです。ちょっとした遊びごころもあったけどやるからにはしっかり準備しましたよ。ビジネスアイデアを発表する場って結構あるけど私たちには1年間このサービスを通して得たデータがあったからかなり説得力があったかも。全てのスピーチ内容を付箋に書いて、大勢いても緊張しないように何度も何度も練習しました』とサフォン。
そして最終的にAlfredは優勝したのです。
『New York Disruptにも行ったことはあったけど、かなり小さいんです。でもサンフランシスコで行われたDisruptは驚異的でした!あれだけ多くのメールや連絡を貰ったことなんて初めてでしたね。Disruptを制した瞬間、世界が私たちに興味を示したんです。そのおかげで利用者数は爆発的に増え、ボストンで小さくまとまっていた所から突然10,000人の登録者を獲得しました』
Disrupt後、すぐさま2人はニューヨークに会社を構えることに決め、ボストンから引っ越すことを決めました。
『私たちはまずAlfredで働いている人たちを主要な顧客として扱うようにしています。そうしたら彼らは利用者のために良い働きが出来て、結果利用者はみんなハッピーになれると思うんです。彼らは文字通り利用者の家の中で仕事をするため、深く信用されることが大事です。そのためにしっかり訓練を受けてもらい、繰り返し身元調査や信用調査をしています。任せっきりにするのでなくしっかりとした指導を徹底しています。』
現在Alfredユーザーのために働く人の数は86人で、その70%が子供を持つ主婦です。しかしアーティストや作家、俳優など少し時間に余裕がある人もAlfredの顔として働いています。
現在19名のメンバーと共に成長を続けるAlfredは、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ワシントンDCに進出を検討している段階で、引き続きニューヨークでの利用者の獲得に励んでいます。昨年の利用額は月々およそ350ドル、年間4200ドルほどで、Amazon Primeの会員が支払う年間1500ドルと比較すると、Alfredの利益の高さが一目瞭然です。
家政婦を雇うのが一般的な海外諸国と比べ、日本ではまだまだ浸透していないというのが実態です。もちろん子持ちの母親が主婦として家事を徹底的に出来るのは素晴らしいことですが、仕事や両親の介護などで自分の首を絞めるより、こういった”サービス”として身の回りのことがお願いできる人がいたら、体力的にも精神的にも救われるのではないでしょうか。Alfredは未だ日本上陸していませんが、勝手に作られた”家政婦”のイメージを脱却して日本でもいつか流行することに期待です。
アメリカ極寒の田舎で4年半国際ビジネスを勉強してました。卒業後アメリカ南下を目指すも失敗し、北上してさらに極寒のシカゴで働いてます。これは!と個人的に思った海外記事を発信していきます☆