フィリピンパブで働いて気付いた「人間関係修復」の優先度。

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私は世界一周をする前、1年間限定で「フィリピンパブ」に働いていました。今回はその時に身を持って感じた「いち早く人間関係修復することの大切さ」についてお話しようと思います。

経緯を簡単に説明しますと、出発1年前の預金残高は約2万円。足りない分は海外で働いて稼ぐとして、そこからせめて100万は貯めたい。かといって1年間遊ばずバイト漬けするほどの価値はないと思っていたので、私は「楽に効率的に稼ぎたい」と思いました。たどり着いた先がフィリピンパブ、というワケです。その時の気付きをエッセイ風に、隠さず語りたいと思います。暇つぶし程度に読んでください。写真①

「フィリピンパブ」とは?

「フィリピンパブ」とは、フィリピン人の女の子とお酒を呑みながら楽しくお喋りができるお店です。夜のお店と言われるものですね。

「どうして日本人なのにフィリピンパブ?」

と思うでしょうが、実は日本人も働ける外国人パブがあるんです。フィリピンパブに来るお客さんは個人客もいますが団体客も多いんです。3〜5人位が普通ですが、多い時には10人なんてことも。この団体客全員がフィリピン人好き、なんてことはまずありません。フィリピン人に首ったけの人なんて団体の中心の人たちくらいです。付き添いで来た方達からは、実は日本人需要があったりするんです。

私は日本人キャバクラで働くより絶対に得だと思いました。容姿や経験関係なく日本人というだけで差別化された価値があり、英語が堪能なフィリピン人達と仲良く話せる。なんせネタになる。私はここで働こうと思いました。

時給は2000円。その他売上からのバックやお客さんからのチップが貰えます。私が働いていたお店のステージにはポールダンス用のポールとカラオケがあるので、歌って踊れば服やランジェリーにお札を挟んでくれたりもします。シフトは自由。営業時間は夜8時半〜翌3時まででしたが私は夜6時〜9時まで家庭教師があったので「基本10時出勤、同伴無し」を許していただきました。

私は週4〜5日出勤だったので、週払いで3〜4万円程度。頑張り次第で5〜6万円も可能です。プライベートでも十分に遊びながら、ユルく働いても月に15万円前後は貰えます。

とはいいながらも、初めはかなりスタッフに白い目で見られました。その当時は常勤日本人スタッフがいなかったんです。強固なフィリピン人コミュニティーの中にガキのような日本人が突如現れたため、一歩踏み入れた瞬間ホール内に漂う「アウェイ感」とその日から戦うことになりました。写真②

出勤3日目にしてボスに嫌われる

仕事を覚えながら固まった人間関係をほぐしていた頃、私は3日目にして最大のミスを犯したのです。

当初まだドレス服も靴も持っておらず、お店のものを借りていました。「どれでも好きなの使っていいよ」というママさんの言葉に甘え、スタッフルームでそこら辺にあった一番無難な靴を履いてホールに戻りました。しかしなんとその靴は売上No.1フィリピン人ジュンちゃんの「その日に買ったおニューの靴」でした。ジュンちゃんは気も強くプライドも強いので、その店のボス的存在でした。

運の悪いことに私はすぐにジュンちゃんと同じ席に着いたんです。

ジュンちゃんは私の足元に気付いた瞬間、黒目だけがこっちを向いて、こう言いました。

「名前知らないけどアナタ、ソレ。ワタシ、まだ履いてないんだけど。」

いくら謝っても、その日から文字通りの無視が始まりました。今思えばたわいない出来事が、瞬く間に女の子の間で脚色されながら広まり、フィリピン人スタッフは私を“邪魔モノ”として見るようになりました。

目の前にいようと、フィリピン人同士タガログ語で私の悪口を言います(あとでスタッフから聞いて知ったのですが)。仕事のジャマばかりが続き、当時は働きづらくてしょうがなかったです。

「早くヤメた方がいいよ。ニホンジンは続かないし、アナタキライ」

ジュンちゃんにそう言われた時、私は決めました。

(絶対この子と仲良くなってやる。) 写真③

ボスと仲良くなろうプロジェクト開始

まず基本は笑顔で挨拶をします。当然無視されるわけですが…。

そして積極的に声を掛けました。単純接触の原理ですね。「前で踊ろう!」「ジュンちゃん次あれ歌ってよ!」「ジュンちゃん今日の服イイね!」。戸惑いながらもお客さんの前なので、仲の良いフリをしてくれました。

次にジュンちゃんともっと接する機会を増やすため、ジュンちゃんのお客さんが連れてきた男性の「ヘルプ」になれるように、ボーイさんに頼みました。ヘルプとは、女の子が連れてきたお客さんが、誰かを連れてきた時の要員です。指名ではないのでその席の売上は全て「お客さんを連れてきた女の子」の売上になります。

私はそこでボトルをたくさん入れてもらえるよう努めました。それは全てジュンちゃんの売上になるので、ヘルプの頑張りはとてもありがたいのです。月ごとに争う「No.1」の座。ジュンちゃんが最も欲しいモノは、挨拶でもお世辞でもお金でもなく、「No.1」という肩書きだと思いました。その月のジュンちゃん売上は100万を超え、No.2とたった2万差でNo.1の座を死守しました。 写真④

そして「キライ」から「スキ」へ

「相手の一番のニーズ」に応えた瞬間、2人の間の何かが溶けました。

その後もアプローチは続き、ジュンちゃんは次第に私に心を開くようになりました。私のことを「アナタ」ではなく「ヒカリさん」と呼ぶようになり、それだけでとても嬉しかったものです。

ある日ジュンちゃんとそのお客さんとお連れ客と私で、閉店後呑みに行きました。朝5時頃の帰り道、改めて「あの時は本当にごめんなさい」と言うと、「全然大丈夫よ気にしない♪ヒカリさんスキなった!」。その後も他の女の子全員と仲良くなることに成功し、私はやっと「居心地のいい空間」を手に入れることができたのです。

全員との和解までは約2ヶ月。初めはしょうもない小さな溝も、放っておくと何故か深くなるんです。特にこの世界ではそうでした。それからというもの私も自分らしく働けるようになり、徐々に指名も増え売上も伸ばすことが出来ました。

ここで気付いたのは、やはり何をするにも安定した人間関係あってこそ。 人間関係につまずいたまま前に進もうとしても、意外とその足枷の存在は大きいんです。どれだけ一生懸命に働いても邪魔をされ、精神的にも集中できません。急がば回れ。人間関係にごたついたならば、自分なりに工夫をしてまずは修復に努めなければなりません。部活でもバイトでも学生団体でもなんでも、コミュニティーの中で何かに集中して取り組みたいと思うならば、やはり人間関係は第一にケアするべきだと再認識した経験でした。

この記事を書いた学生ライター

Hikari Tagami
Hikari Tagami
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1年間休学し今東南アジア辺りを歩いている大学生です!日々考えを巡らせながら、ふとした気付きをここに書き留めていきます。みなさんと一緒に考えられるような記事を書いていきたいので、暇な時にでも読んでみてください。Facebookでも公開して色々発信していますので、良かったらそちらもご覧ください!

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