「貧困層と向き合うために。」 帰国せずにフィリピンでインターンを続ける理由。

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乾季が終わり、そろそろ雨期に入りそうなフィリピンから楢府奈緒子です。

今は、首都マニラからバスで4時間くらい北上したオロンガポ(Olongapo)という場所でインターン中です。米軍基地の跡地で、米軍の撤退後、観光地化された場所です。

今回は、インターンについて書きたいと思います。 11月から3月までの留学が終わり、現在、2つのインターンを並行しています。1つはオロンガポで活動しているNGOのPREDA基金、もう一つは開発メディアganasという開発や途上国に焦点を当てたメディアのインターンライターです。

インターンをしようと思った事情はかなり特殊です(苦笑) もともと1年間の留学を希望していたのですが、「AIMS(ASEAN International Mobility program for Students)のプログラムが今年から始まるから応募してみない?」と勧められ、1学期間のASEAN諸国の大学との協定プログラムに応募することになりました。 残りの半年は、同じ大学に私費留学生として勉強して1年間の留学にするつもりでした。

が!!8月から授業が始まると言われていたのに、「11月から授業が始まる」、「今年は学年歴変更の年にあたるから、4月から8月まで休校になるよー」と大学側に言われてしまいました。 そして、2学期目は8月から12月になると・・・。10月に日本の大学に戻らなくてはいけない私はこの大学での1年間の留学を諦めることになりました。 就活も院試の対策もしていない上に、奨学金も決まっていたため、「行くしかない!行ったらどうにかなるだろう!」という状態で留学を決断していました。

この時点での候補は、

・他大のサマースクールに通う ・語学学校に通う ・インターンをする ・早めに帰国

の4つでした。 楢府さん5まず1つ目の選択肢。フィリピンでは4月5月が夏休みになります。(ASEANと同じ学年歴を使っている大学以外) 旧学年歴を使用している他の大学で開校される集中講座を私費留学生として受講するという計画です。最初はこれが一番有力でした。

2つ目の選択肢。フィリピンは語学学校がたくさんあります。もし大学に留学してみて語学力のなさを痛感したら選ぼうと思っていました。帰国子女でもないし、今まで語学学校にも語学留学にも行ったことがなく、独学で勉強していたのでいい機会になると思っていました。

3つ目のインターンは正直、最初はそんなに考えていませんでした。後で書きますが、社会問題を学ぶのに日本人が運営しているNGOでインターンするのはあまり気が進まないし、言葉の通じない海外でインターンをするよりは日本や英語が通じる場所でインターンをした方が、自分も成長できるし、結果も出せると思っていたからです。

4つ目の早めに帰国。実はこれ、インターンよりも有力でした(笑)。結局は選びませんでした。

こんな感じで、出発前はあまりインターンは考えてませんでした。 ただ、出発前に知り合いの方にNGOをいくつか紹介はして頂いていました。インターンをするかは別として、訪問・見学をしてみたいと思っていたからです。

マイクロファイナンスのNGO(前回の記事を参照ください。)、スモーキーマウンテンで活動しているNGO(関連記事はこちら)等、誰がどこのNGOとコネクションを持っているかだけは把握していました。楢府さん7私が今インターンをしているNGOはFree The Children Japan(FTCJ)が支援しているNGOであり、FTCJで活動していた時にこのNGOのソーシャルワーカーと知り合いました。

彼女には「フィリピンに留学するから、留学中に訪問したい。長期休みにボランティアしたい」とは伝えていました。(この時点では超長期休暇の存在を知りませんでした。)

最終的に4つの中から大学に通うのではなくインターンを選んだ理由は、「この社会をもっと知りたい!」と思ったからです。

まず、留学を通じて大学は「フィリピンじゃない!」と感じました。 国内一のお金持ち学校と言われるアテネオ大学は、タガログ語が得意ではない学生がいたり、電車に乗ったことがない学生がいたり、移動は運転手付きの自家用車だったり・・・。

そして何より「学生がフィリピンに関心がない!」のです。 冗談とはいえ、何度、国籍を交換してほしい、日本での仕事を紹介してほしいと言われたことか・・・。 加えて、「貧しい人は危ないから近づかない方がいいよ」「彼らの存在は本当にフィリピン社会に対して悪い影響がある」と当たり前のように言う学生たち。このコミュニティはほんの一握りの裕福な人のみの特殊な環境で、ここだけで「フィリピンで学んだ」とは言えないのではないかと思いました。

加えて、勉強していて理想と現実の乖離を感じていました。 授業を通じてこの社会的枠組みはかなりしっかりしているなーという感じが、外を見渡せば何か違う・・・。労働時間は週48時間なのに、ドミトリーのセキュリティは2シフト制で毎日同じ人が働いている。・・・「社会の現実を知りたい」、「学びたい」と思うようになっていました。

このような理由で、大学滞在中は裕福なエリートたちの考え方を学び、後半はインターンをしながら貧困層のことを学ぶことで社会の本音を理解したいと、留学中に超長期休暇中にインターンをすることを決めました。

楢府さん6インターンが決まった過程としては、両方とも直接申し込みました!

4月からのインターンに向け、1月の終わりからインターン先を探しはじめ、友人に聞いたり、紹介してもらったNGOのウェブページを見たりと情報集めを始めました。この時に私が基準としていたのは、「フィリピン人中心のNGOであること」と「国内法と子どもの人権に関連した事業をやっていること」の2点でした。

というのも、日本人や外国人が運営しているNGOは、やはり「外国人の常識」から「問題だと思うこと」に取り組んでいると感じることが多く、必要性や持続性に疑問を感じていました。援助者と被援助者の間のコミュニケーションの問題を抱えている場合も少なくありません。また、私は国内法による人権の保護に興味があったので、必然的にフィリピン人が運営しているNGOになりました。

いくつかのNGOを調べた結果、NGOがやりたいことと自分の考えが近いところをとにかくまずは訪問しようとコンタクトを取りました。知り合いのソーシャルワーカーのFacebookにメッセージを送って、NGOのメールアドレスにもメールを送りました。このNGOはノーベル賞にも2度ノミネートされているので無視される可能性もあるかも・・・と不安に思い、”Free The Children Japanのボランティア”であることをメールのタイトルに書き強調して送りました(笑)。

日程の調整に時間はかかりましたが、訪問が実現。 訪問したところ、

「そういえば、ボランティアしたいって言ってたけどいつから始めたい?毎週末?」

と言ってもらえたので正直に

「4月から大学通えないって言われちゃって、インターン先を探してて・・・」

「それなら、こっちに住みながらボランティアする?」

これで決まりました。(この時点で確定しているインターンがなかったので)楢府さん8これに加えて、たまたま私が使っていたウォーターボトルが大活躍。One Young World Summitというサミットに参加した時にもらったものを使っているのですが、たまたま同じサミットに参加していたソーシャルワーカーがいたんです。それで、「え、このサミット参加してたの?」ということから、「ここでボランティアしないの?」とあっさり他のスタッフからもお誘いを受けました。

もう一つの開発メディアganasは、Facebookでインターンライター募集のお知らせを見て応募しました。確か3月の半ばくらいだったと思います。しかも、途上国在住の方募集!の文字が。ということで、エッセーと履歴書を書き、書きたいテーマやいくつかの質問についてメールでやり取りした後に即日採用して頂きました♪

応募した理由は、「伝わる」文章の書き方を学びたいのと、留学中に開発について真剣に話せる人がいなかったため、対話しながら自分のフィリピンでの経験を消化する方法を探していたからです。最低月2本という目標の下、毎度突っ込みを頂きながら、文章を訂正し、情報発信しています。

特殊な事情から希望をし、直接訪問で話がまとまったという特殊づくめなインターンですがこの経験から言えることを最後に書いて終わりにしたいと思います。

まず、インターンとの出会いは日本から始まっているということ。い きなり海外に行って「インターンしたいです」というのはやはり無茶です。日本で希望するインターンに近い活動をしていればしているほど、紹介してくれる人と知り合う確率は高くなりますし、申し込む際にいいエッセイが書けます。私も正直Free The Children Japanの活動をしてなかったらこのNGOの存在すら知ることもなかったです。

次に、情報に常にアンテナを張ること。どこにインターンの機会が落ちているかは分かりません。私の場合、たまたま見つけたポストが開発メディアganasでのインターンにつながりました。

最後に、足を運んでみること。インターン先の決め手となったのは、訪問して「やりたいことができる」と確信したからです。やはり、ウェブページは全てではありません。海外のインターンで事前に訪問して選ぶのはなかなか難しいとは思いますが・・・。

最後まで読んで頂きありがとうございました。特殊づくめすぎる私の経験ですが、海外インターンを希望している方の参考になれば幸いです。扉を叩いてみれば意外とどうにかなるものです。ぜひチャレンジしてみてください☺

この記事を書いた学生ライター

楢府 奈緒子
楢府 奈緒子
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2014年10月からフィリピンに滞在中。11月から3月までのアテネオ・デ・マニラ大学の交換留学を終え、現在はオロンガポ(マニラから北に4時間)でPREDA FoundationというNGOでインターン中。フィリピンの色々な側面を知りたいと、現地の人に交じって生活しています。 (※Facebookでの目的が曖昧なコンタクトや友達申請は控えて頂けると幸いです。)

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